コラム
当院での日帰り網膜硝子体手術について(対象疾患・手術の流れ・費用を解説します)
「視野の一部が欠けてきた」「目の前に黒い影が浮かんでいる」「ものが歪んで見える」——こうした症状は、網膜や硝子体の病気のサインかもしれません。放置すると失明につながるケースもある疾患ですが、早期に適切な手術を受けることで視力を守ることができます。
真鍋クリニック(東京都羽村市)では、世界最先端の27G無縫合極小切開システムを用いた網膜硝子体手術を日帰りで提供しています。こちらでは以下をわかりやすくご説明します。
- 硝子体・網膜の役割と病気のしくみ
- 網膜硝子体手術の対象となる主な疾患
- 当院の手術の特徴(27G無縫合・日帰り)
- 手術当日の流れと所要時間
- 費用・保険適用のしくみ
- 術後の過ごし方と注意点
- よくあるご質問(FAQ)
硝子体・網膜とはどんな組織?
硝子体(しょうしたい)
硝子体とは、眼球内部の大部分を占める透明なゲル状の組織です。99%が水分で構成されており、眼球の形を保つクッションのような役割を果たしています。若いころは卵白のようなプルプルした質感ですが、加齢とともに液化・収縮し、網膜と癒着している部分が引っ張られることで様々な病気の引き金になります。
網膜(もうまく)
網膜とは、眼球の内壁を覆う薄い神経の膜です。カメラで例えるとフィルム(センサー)にあたり、目に入ってきた光を電気信号に変換して脳に伝える重要な役割を担っています。網膜の中心部にある「黄斑(おうはん)」は視力・色覚の中心であり、この部分が障害されると視力が大きく低下します。
網膜は非常に繊細な組織で、一度傷ついた神経細胞は再生しません。そのため、網膜・硝子体の病気は早期発見・早期治療が視力を守る鍵となります。
網膜硝子体手術の対象となる主な疾患
当院では以下の疾患に対して網膜硝子体手術を行っています。「自分の症状が手術の対象かどうかわからない」という方も、まずはお気軽にご相談ください。
黄斑前膜(おうはんぜんまく)
主な症状:ものが歪んで見える・視力低下
網膜の黄斑部の表面に薄い膜が張ってしまう病気。膜が網膜を引っ張ることでものが歪んで見えたり、視力が低下したりします。進行すると手術が難しくなるため、早めの対応が重要です。
黄斑円孔(おうはんえんこう)
主な症状:視野の中心が暗い・歪む
黄斑部に小さな穴(円孔)が開く病気。硝子体が収縮する際に黄斑部を引っ張ることで発生します。視野の中心が暗く見えたり、歪んだりします。
網膜剥離(もうまくはくり)
主な症状:視野の欠け・黒い影・光視症
網膜が眼球壁から剥がれる病気。早期に治療しないと失明につながる緊急性の高い疾患です。飛蚊症の急増・光が走る(光視症)・視野の一部が欠けるなどの症状が現れます。
硝子体出血(しょうしたいしゅっけつ)
主な症状:急な視力低下・煙が見える・真っ暗
硝子体腔に血液が流れ込む状態。糖尿病網膜症・網膜裂孔などが原因となることが多いです。自然吸収を待つ場合もありますが、吸収されない場合や原因疾患の治療が必要な場合は手術を行います。
増殖糖尿病網膜症(ぞうしょくとうにょうびょうもうまくしょう)
主な症状:視力低下・視野障害
糖尿病の合併症として起こる網膜症が進行し、新生血管や増殖膜が形成された状態。牽引性網膜剥離を引き起こすこともあります。
網膜静脈閉塞症(もうまくじょうみゃくへいそくしょう)
主な症状:視力低下・視野の一部が欠ける
網膜の静脈が詰まる病気。黄斑浮腫(むくみ)を合併することが多く、硝子体手術が必要になる場合があります。
硝子体混濁(しょうしたいこんだく)
主な症状:飛蚊症・霞み
炎症・出血・感染などにより硝子体が濁る状態。薬物療法で改善しない場合に手術の適応となります。
眼内炎(がんないえん)
主な症状:急激な視力低下・強い充血・痛み
眼内に細菌・真菌が侵入して起こる重篤な感染症。緊急手術が必要になることがあります。
受診のタイミングについて
飛蚊症・光視症・視野の欠け・急な視力低下・ものの歪みなどの症状は、網膜・硝子体の病気の重要なサインです。症状が出たら早めに眼科を受診してください。
特に「急に飛蚊症が増えた」「視野の一部が欠けてきた」場合は緊急性が高い場合があります。
当院の網膜硝子体手術の特徴
真鍋クリニックでは最新鋭の手術システムを導入し、患者様の負担が最小限になる手術を提供しています。

① 世界最先端の27G(ゲージ)無縫合極小切開システム
27G(ゲージ)とは切開口の太さを表す単位で、数字が大きいほど細い(小さい)ことを意味します。27Gは外径約0.4mmという非常に細い器具で手術を行います。
| 比較項目 | 27G(当院) | 従来の手術 |
| 切開口の大きさ | 約0.4mm(極小) | 約0.9〜1.0mm以上 |
| 縫合 | 不要(自己閉鎖) | 必要 |
| 術後の異物感 | 少ない | 縫合糸による刺激あり |
| 感染リスク | 低い | 比較的高い |
| 回復の速さ | 早い | 縫合糸を抜くまで時間がかかる |
切開口がわずか0.4mmのため、縫合が不要です。術後の異物感・感染リスクが少なく、
回復が早いという患者様にとって大きなメリットがあります。

② 局所麻酔(点眼麻酔・テノン嚢下麻酔)・全身麻酔は不要
ほとんどの硝子体手術は局所麻酔で行います。当院では点眼麻酔とテノン嚢下麻酔(眼球の周囲に少量の麻酔薬を注入する方法)を組み合わせて使用します。全身麻酔は不要なため、身体への負担が小さく、術後の回復も早くなります。
③ 日帰り手術
当院では網膜硝子体手術を日帰りで行っています。入院が不要なため、仕事や家庭への影響を最小限に抑えることができます。ただし、疾患の種類・重症度・術後の状態によっては、近隣の連携病院への入院をご案内する場合があります。
④ 50歳以上の方は白内障手術と同時施行
50歳以上の方については、硝子体手術と同時に白内障手術を行うことを推奨しています。これは、硝子体手術によって白内障の進行が早まることがあるためです。同時に行うことで、手術回数を減らし、患者様の負担を軽減できます。事前に担当医より詳しくご説明いたします。
手術の流れ
手術までのステップ
STEP 1 初診・精密検査
視力・眼圧・眼底検査・OCT(光干渉断層計)・蛍光眼底造影などの精密検査を行い、疾患の状態を正確に把握します。手術適応の判断と最適な手術方法の決定を行います。
STEP 2 手術説明・同意
手術の内容・リスク・術後の見通しについて担当医が丁寧に説明します。ご不明な点は何でもご質問ください。説明に納得いただいたうえで同意書にご署名いただきます。
STEP 3 術前検査(全身状態の確認)
血液検査などの術前検査を行い、手術を安全に受けられる全身状態かを確認します。
手術当日の流れ
STEP 4 ご来院・術前準備
予約時間にご来院ください。着替え・散瞳点眼・術前消毒などの準備を行います。散瞳には30〜60分程度かかります。
STEP 5 手術室へ・麻酔
手術室に入室し、点眼麻酔とテノン嚢下麻酔を行います。注射針の痛みを最小限にするための表面麻酔も行います。
STEP 6 手術(約30分〜1時間)
白目(強膜)に3か所の小さな穴(約0.4mm)を開け、硝子体カッター・光ファイバー・灌流針を挿入します。濁った硝子体を切除し、原因となっている膜の除去・網膜の処置を行います。最後に眼内を灌流液・空気・ガス・シリコンオイルなどで置き換えて手術を終了します。手術時間は疾患の種類・重症度により異なりますが、約30分〜1時間が目安です。
STEP 7 術後の安静・説明
手術後は術後の点眼薬の使い方・日常生活の注意点・体位保持(うつ伏せ姿勢など)が必要な場合はその方法についてご説明します。
STEP 8 ご帰宅
医師の確認後、当日にご帰宅いただけます。翌日の検診予約をお取りします。
手術当日の来院にあたって
・お車・バイク・自転車でのご来院はご遠慮ください(術後は視力が不安定なため)
・付き添いの方がいると安心です
・化粧(特にアイメイク)はしないでお越しください
・手術後に体位保持(うつ伏せ等)が必要になる場合があります。事前に担当医にご確認ください
・内服薬(血液をサラサラにする薬など)は術前に休薬が必要な場合があります。かかりつけ医にご確認ください
■ 術前〜術後のスケジュール目安
| 時期 | 内容 | 目安時間 |
| 初診〜術前検査 | 精密検査・全身検査・手術説明 | 1〜2時間 |
| 手術当日(院内) | 来院・準備・手術・術後安静・帰宅 | 約3〜4時間 |
| 翌日 | 術後1日目検診(必須) | 約30〜60分 |
| 術後1週間 | 検診・点眼継続・体位保持解除の確認 | 約30分 |
| 術後1か月 | 検診・視力確認・日常生活制限の解除判断 | 約30分 |
| 術後3か月〜 | 定期検診(疾患により異なる) | 約20〜30分 |
費用・保険適用について
網膜硝子体手術は健康保険が適用される手術です。保険の種類(3割負担・2割負担・1割負担)や手術内容により自己負担額は異なります。
■ 自己負担額の目安(片眼・手術費用のみ)
| 保険負担割合 | 片眼あたりの自己負担目安 |
| 3割負担(一般) | 約100,000〜150,000円程度 |
| 2割負担(高齢者等) | 約70,000〜100,000円程度 |
| 1割負担(高齢者等) | 約35,000〜50,000円程度 |
※ 疾患の種類・使用する器具・ガス・シリコンオイルの使用有無などにより費用が変わります。
※ 上記は目安であり、術前検査費用・薬剤費・再診料等は別途かかります。
※ 50歳以上の方が白内障手術と同時に行う場合は白内障手術費用が別途加算されます。
高額療養費制度について
手術費用が一定額を超えた場合、高額療養費制度により自己負担額に上限が設定されます。
(例:70歳未満・一般所得の場合、月額約80,100円+(総医療費−267,000円)×1%)
詳しくはスタッフにお気軽にお尋ねください。事前の限度額適用認定証の取得もご案内できます。
術後の過ごし方と注意点
術後の管理は視力回復・合併症予防において非常に重要です。担当医の指示を必ず守ってください。
■ 時期別の生活上の注意点
| 時期 | 生活上の注意点 |
| 手術当日〜翌日 | 眼帯を装着。洗顔・洗髪・入浴は禁止。安静を保つ。体位保持(うつ伏せ等)が必要な場合は指示に従う |
| 術後1週間 | 洗顔・洗髪は可(目に水・石けんが入らないよう注意)。シャワーのみ可。激しい運動・重い荷物を持つことは禁止。目を触らない・こすらない |
| 術後2〜4週間 | 軽い家事・散歩は可。飛行機への搭乗は眼内ガスが残っている間は禁止(気圧変化で眼圧が上昇するため)。水泳・スポーツはまだ禁止 |
| 術後1〜3か月 | 医師の許可後、順次日常活動を再開。定期検診を必ず受ける |
眼内にガス・シリコンオイルを注入した場合
網膜剥離・黄斑円孔などの手術では、術後に眼内へ膨張性ガスやシリコンオイルを注入することがあります。この場合、網膜を内側から押しつける目的で「うつ伏せ姿勢」などの体位保持が数日〜1週間程度必要になります。
また、眼内にガスが残っている間は航空機への搭乗が禁止されます(気圧低下により眼圧が急上昇し、視神経・網膜にダメージを与える危険があるため)。手術前に旅行・出張の予定がある方は必ずご相談ください。
点眼薬の使用
術後は抗菌点眼薬・抗炎症点眼薬・ステロイド点眼薬などを処方します。指示された回数・期間を必ず守ってください。自己判断での中断は感染症・炎症の悪化につながります。
すぐに受診が必要な症状
以下の症状が現れた場合はすぐにご連絡・ご来院ください。
- 急激な視力低下
- 強い痛み・激しい充血
- 視野の急な欠け・黒い影の拡大
- 飛蚊症が急に増えた
- 光が走る(光視症)が突然増えた
視力の回復について
術後の視力は疾患の種類・術前の状態・手術のタイミングによって大きく異なります。黄斑部(視力の中心)が関わる疾患では、手術が成功しても視力の完全な回復が難しい場合があります。一方で、早期に手術を受けた場合は良好な視力回復が期待できます。視力が安定するまでには数か月かかることもあります。術前に担当医から視力回復の見通しについて詳しく説明いたします。
よくあるご質問(FAQ)
Q1. 硝子体手術は痛いですか?
局所麻酔(点眼麻酔+テノン嚢下麻酔)で行うため、手術中の痛みはほとんどありません。テノン嚢下麻酔の際に軽い圧迫感を感じることがありますが、鋭い痛みではありません。全身麻酔は使用しないため、術後の吐き気などの不快感も少ないです。
Q2. 飛蚊症がひどいのですが、手術が必要ですか?
飛蚊症のすべてが手術適応になるわけではありません。生理的飛蚊症(加齢による硝子体の変化)の場合は経過観察で問題ない場合が多いです。ただし、「急に飛蚊症が増えた」「視野の一部が欠けた」「光が走る」などの症状が加わった場合は、網膜裂孔・網膜剥離の可能性があるため、速やかに受診してください。
Q3. 手術後すぐに見えるようになりますか?
疾患の種類や術前の状態によって異なります。硝子体出血の手術では術翌日から視界が大きく改善することもありますが、黄斑前膜・黄斑円孔などでは視力が安定するまでに3〜6か月程度かかることがあります。また、眼内にガスが入っている間は視力が低下した状態が続きます。
Q4. うつ伏せ姿勢は絶対に必要ですか?どのくらいの期間ですか?
黄斑円孔・一部の網膜剥離の手術後は、網膜をガスで押しつけるために術後数日〜1週間程度のうつ伏せ姿勢が必要です。疾患の種類や手術内容によって体位保持が不要な場合もあります。詳しくは術前に担当医からご説明します。
Q5. 手術後、飛行機に乗れますか?
眼内にガスが残っている間(通常2〜8週間程度)は航空機への搭乗は禁止です。気圧の低下により眼圧が急上昇し、視神経や網膜に深刻なダメージを与える危険があります。ガスが吸収されれば搭乗可能になりますが、必ず担当医の許可を得てください。
Q6. 糖尿病がありますが手術は受けられますか?
糖尿病網膜症による硝子体出血・増殖膜などに対する硝子体手術は、糖尿病患者様に多く行われる手術です。ただし、血糖コントロールの状態によって手術の安全性や回復に影響することがあります。かかりつけの内科医と連携しながら手術に臨みます。
Q7. 網膜剥離の手術後、再発することはありますか?
手術後に再剥離(再発)が起こる可能性は約5〜10%程度あります。再剥離が起きた場合は再手術が必要になることがあります。術後の定期検診を欠かさず受け、気になる症状があればすぐにご連絡ください。
Q8. 高齢でも手術は受けられますか?
年齢による制限はありません。80代・90代の方でも手術を行っています。全身麻酔ではなく局所麻酔で行うため、全身への負担が少ないことも高齢の方にとってのメリットです。全身状態を術前に確認したうえで、安全に手術を行います。
まとめ・お気軽にご相談ください
網膜・硝子体の病気は、早期発見・早期治療が視力を守る最大の鍵です。「ものが歪む」「急に飛蚊症が増えた」「視野の一部が欠けた」などの症状がある方は、放置せずにすぐに眼科を受診してください。
真鍋クリニック(東京都羽村市)では、世界最先端の27G無縫合極小切開システムを用いた網膜硝子体手術を日帰りで行っています。切開口が約0.4mmと極めて小さく、縫合不要・感染リスクが低い・回復が早いという特徴があります。
「症状が心配」「他院で手術を勧められた」など、どんなことでもお気軽にご相談ください。
ご予約・お問い合わせはお電話などから承っております。
文責:眞鍋 歩(医療法人社団 真愛会 理事長・真鍋クリニック院長・眼科専門医)
所属:医療法人社団 真愛会 真鍋クリニック(東京都羽村市)
最終更新日:2026年3月30日
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